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「佐藤くん、速く!」
「あーもう、腕痛いって」
クズる俺を、半ば強引に結城が引っ張る。
数歩前で、懐中電灯を持ったおばあちゃんがにやにやしながら、ちらちらこちらを窺ってくる。
……ったく、なんで女子ってこう蛍とか好きなんだろう。ただ光るだけじゃん。
嬉しそうに、頬を上気させて蛍を探しまくる結城。
「あっ、佐藤くん佐藤くんあれ蛍っすかね!?」
「馬鹿、ただの街灯だっつの」
「ちいっ」
悔しそうに顔を顰める結城。……あほだ。
そうして、また何かを見つけたように土手の端まで駆け寄って。
川に指を指して、何かを言おうとした瞬間、崩れるように結城の体が前のめりになって、
「───わ、あ」
「───っ!!」
思わず、結城の腕を力強く掴んで、引き寄せる。
ふわり、と甘い匂いが鼻をかすめる。なんだか、心がむずむずして落ち着かない。



