佐藤くんは甘くない



カナカナ、と涼しげなひぐらしの声が響き渡る。


俺は、縁側に寝っころがりながら、ぼーっと外の景色を眺めていた。


もうあたりは薄暗い。


早めの夕飯を取って、結城はと言えば、家が檜風呂だとおばあちゃんからきくとそりゃあもう目を輝かせてお風呂に直行してしまった。


何もすることがなくて、こうしている始末。


……違う。

することならたくさんあったはずだった。


そもそも、ここに来た理由はお母さんとすれ違わないように、するために早く来たのに。



どうしてだろう。

ずっと、胸騒ぎがする。心の奥で、ちくちくと、危機を知らせるみたいにずっと痛み続けている。


あの後、故意に話を逸らしたおばあちゃんに、お母さんのことを追及することが、できなかった。そんな機会、いつでもあったのに。


どうして、聞けなかったんだろう。


なんで。