おばあちゃんは、何も言わなかった。
じっと、ただ俺たちの瞳を見据えていた。そうして、気丈に強張っていた表情が、ふにゃあと崩れる。
「あなたたち、今日は何時までこっちにいるの?」
「……あ、え。あ、明日までです」
「泊まるところは?」
「……ええっと、」
さっきまでの緊迫した雰囲気が消えて、話しかけてくるおばあちゃんに戸惑ったのかしどろもどろに答える結城。
「まだ決まっていないんでしょう。通りで、荷物も少ないと思ったの。……よければ、私の家に泊まって行ってちょうだい」
「あ、ありがとうございます」
「あなたたち、いいところに来たわよ。今、ちょうど蛍が見えるのよ」
「蛍!!」
ばん!
と机を叩いて、結城が興奮気味に立ち上がった。
……確かに、あっちじゃあ蛍なんて見れないから、喜ぶのは分かるけど。
なんだか、どっと脱力。



