佐藤くんは甘くない




「……あら?ってきり、私は、」


目を見開くおばあちゃん。

何かを言いかけたけれど、結局それは永久に閉ざされたままだった。


「それにしたって、金曜日でしょう。貴方たち、学校は?まさか、愛の逃避行でもしたのかと思ったのだけれど」


「……う」


隣に座っていた結城が、思いっきり反応する。……あほだ。


おばあちゃんは、それを見逃さない。

優しげな瞳の色が、一気に鋭くなる。それに気づいた俺も、結城も、顔を合わせた。これ以上、口を閉ざすわけにもいかない。結城が、小さく頷く。


しゃんと背を伸ばして、結城が綺麗に正座する。俺も、続いて真正面を向いた。



「───私たち、わけがあってここまで来たんです」


「……」



「佐藤くんのお母さんに、逢いに来たんです」