佐藤くんは甘くない



***


たぶん、一人では、足がすくんで立っていることすらままならなかった。


ただ一人、隣に信じる人がいるだけで、こんなに安心できるなんて知らなかった。



ふいに、顔を上げると───その視線に気づいたのか、優しく微笑む彼女。その笑みは、まるで春の木漏れ日のように温かくて。


懐かしい、街並み。


昔よりも随分家が立ち並んで、砂利道ばかり続いていた通りは、舗装されている。ゆっくり、ゆっくり確かめるように、情けなく引けてしまう足に力を入れる。


そうだ。


あの、青色の屋根の家の角を曲がって───






「……ぁ、」





声が、漏れた。


わけもなく、喉の奥から何かがこみ上げてきそうになる。


ああ、〝僕〟の家だ。