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たぶん、一人では、足がすくんで立っていることすらままならなかった。
ただ一人、隣に信じる人がいるだけで、こんなに安心できるなんて知らなかった。
ふいに、顔を上げると───その視線に気づいたのか、優しく微笑む彼女。その笑みは、まるで春の木漏れ日のように温かくて。
懐かしい、街並み。
昔よりも随分家が立ち並んで、砂利道ばかり続いていた通りは、舗装されている。ゆっくり、ゆっくり確かめるように、情けなく引けてしまう足に力を入れる。
そうだ。
あの、青色の屋根の家の角を曲がって───
「……ぁ、」
声が、漏れた。
わけもなく、喉の奥から何かがこみ上げてきそうになる。
ああ、〝僕〟の家だ。



