佐藤くんは甘くない



どれだけ、苦しかったんだろう。

どれだけ、辛かったんだろう。


壊れそうになる佐藤くんに、誰かが手を差し伸べるべきだったのに。誰も、それができなかった。しなかった。


自然と、震える彼の冷たい手に、自分の手を重ねた。びくっと、大きく飛び跳ねる。頼りなく、佐藤くんが私の方に顔を上げた。


上手く、笑えているだろうか。

佐藤くんを、安心させられているんだろうか。


少しだけでも、彼の痛みが和らげばいいと、心から願った。


「……怖いですか」


「…………っっ、こわい」


「苦しいですか」


「……苦しい……っ」


佐藤くんの震える手が、私の手を離さないとでも言うように強く、強く握られる。それにこたえるように、私は握り返す。


「どこにも、いかないで」


「はい」


「ここにいて」


「はい」


「……ゆう、き」


「ここにいますよ」