佐藤くんは甘くない



もぞ、っと布団が動く。

私は足音を立てないように立ち上がって、佐藤くんに近付いた。


そうして、もっこりしている布団の中心あたりを両手でつまんで───



「───佐藤くん、返事は!」



ばさ、っと勢いよく、布団をはぎとった。

そして、布団の中でだんまりを決め込む眠り姫に、にんまり笑ってやる。


中にいた佐藤くんは一瞬びっくりしたように目を見開いて、何かを隠すかのように顔を慌てて枕に埋めると、


「っっ、かっ、返せ……!」


ぶんぶん勢いよく、腕を振り回して取り返そうとする。いやいや、そこに布団はないっすよ佐藤くん。


……ったく。


「目が赤かったですよ、佐藤くん」


私がそういうと、ぶんぶん振り回していた腕をぴたりと止めて、


「ち、違うっ……!別にこれはっ、ちょっと目がかゆかったから、擦ってたらこうなっただけで、別に、ちょっと涙ぐんだわけじゃっ、」


「───佐藤くん」


私は、真っ赤になって誤魔化そうとする佐藤くんの言葉を遮って、呼び掛ける。