佐藤くんは甘くない




いそいそと、元いた場所に座る。

何か、話題。しゃ、喋らないと私の気が持たない。


焦った頭で、最近のことを思い浮かべる。ええっと、あ、瀬尾が道路に黒い猫がいたって追いかけて言ったらただの黒いビニール袋だった話とか。


「……結城」


「は、はひィ!」



つおっ、し、舌っ噛んだ……!!

痛みに口を押えると、佐藤くんが何やってんだ、とでも言う口調で、


「ゼリー」


くいっと、テーブルにのっているスーパーの袋を指さす。


「あんまり好きじゃない、から」


佐藤くんが困ったように眉をハの字にして、ふいっと首を逸らしながら、


「……片付けてって」


途切れ途切れに、そういう。……ああ、なるほど。

だから私にもう少しいれば、なんて言ったのか。納得。てっきり、風邪特有の寂しさ、みたいなものをこじらせたのかと思った。


私はスーパーの袋から買ってきたゼリーと、付属でもらったプラスチックのスプーンを取り出して包装をとく。