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「ちわーっす、ちゃんと病人してますか」
佐藤くんの部屋のドアを開けて、ずうずうしくも入ると、
「……ウッザ」
不機嫌そうに眉をひそめた佐藤くんが、布団を深くかぶってそっぽ向いてしまった。
「ははーん、さっきのこと怒ってるんですか?」
「……誰が」
私は、佐藤くんが寝ているベットのそばで腰を下ろす。
とん、という音に佐藤くんが一瞬だけぴくり、と肩を動かしてそれから、小さな声で、
「……帰んなくて、いいの」
「帰ってほしいんですか?」
「当たり前」
「そ、即答。……可愛くないッスね。顔は可愛いのに」
「黙れ」
後ろ向きなのに、的確にティッシュ箱が飛んできた。……恐ろしいや佐藤くん。
まあ、分かっていたけれども。きっと、今日こうやって押しかけたのも佐藤くんにとっては迷惑だったのかもしれない。
「でもまあ、佐藤くんが元気で良かったです」
今日はそれだけがわかれば、十分だ。
私は部屋の隅に置いていた自分の鞄から、プリントの束を小さなテーブルに置いて、立ち上がる。
「んじゃ、今日は帰ります」
そっぽ向いたままの相変わらずツンデレ佐藤くんに苦笑しつつ、ドアノブに手を掛けた、その時。



