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くすくす、とひとしきり笑ったところで、
「……すまんな」
と、すぐ目の前から、とても悲しい含みを持った声がした。
ふっと小さく笑うその人は、佐藤くんのことをとても心配していて、大事にしているんだと伝わってくる。
「那月が無愛想で」
「あっはっは、もう慣れましたッす」
「そうか」
おじいちゃんが笑う。初対面の時は、佐藤くんの綺麗な顔とはだいぶ離れた厳格な面持ちにカルチャーショックを受けたけれど、笑ったときは佐藤くんとよく似ていることに、気付く。
「こはるちゃん」
すうっと、心に入り込んでくるような芯の通った声。
私が向き直ると、おじいちゃんはきりっと眉を上げて、
「もし、那月がどうしようもなく困っているとき、どうにもならなくて立ち止まって一人で泣いているとき、どうか、どうか───」
ずるり、と座卓から体を移動させて、深々と私に頭を下げる。
「───どうか、アイツを助けてやってほしい」
しゃんとした、声色。
私は一瞬、私よりも随分と時を重ねてきた人が、目の前で頭を下げることに面食らった。だけど、その肩が小さく震えていることに気付く。
真剣なんだ。
真剣に佐藤くんのことを、考えている。……なら私も。



