佐藤くんは甘くない



この家は、家族の割合に、広い。


俺とじいちゃん。たった二人だけなのに、広すぎるこの家は使われていない部屋が何個もある。

そんな部屋を通り過ぎて、いつもリビング、として使っている広間まで歩く。


縁側の廊下を挟んですぐの襖。灯がともっていた。


そして、一つだけ不自然なことに気付く。


笑い声。

この家には随分前から聞こえなくなったはずの声が───広間に響いていた。


びっくりして、俺は思わずバーンと無遠慮に障子を開けて、目を見張る。一瞬、立ちくらみがしたのはきっと熱のせいだけじゃない。

そこには───、



「わ、びっくりした」


「いきなり不躾だぞ、那月」



目の前で、座卓に向かい合わせで座っている、異色の組み合わせ。



俺のじいちゃん、佐藤浩一郎と、結城こはるが仲良くご飯を一緒につついていた。