一言で言うなら、すげえ。だった。
外観もさることながら、家の中はびっくりするくらい広かった。まず正面玄関入って、すぐに長い廊下。そして、いくつもある障子。
佐藤くんの案内が無かったら、自力ではトイレにも行けなさそうなくらいだ。
長い廊下を、私の少し前を歩く佐藤くんに、
「佐藤くんのご両親って何をされてらっしゃるんすか」
とこっそり聞いてみる。
けれど、佐藤くんは一瞬、私から目を逸らした。口元が大きく隠れているから、なかなか表情は読み取れない。
何か聞いちゃいけないことを、聞いたのだろうか。と、不安になる。
「……ここは、父方の祖父母の家。でも祖母は3年前に亡くなった。……だから、俺とじいちゃんの二人だけ」
やけに、二人だけ、を強調してきた。
けれど、ようやく表札に佐藤くんの名前が書かれていない理由がわかった。ここはもともと佐藤くんが住んでいた家じゃない、ってこと。……なら、佐藤くんの。と、そこまで考えて私は止める。
なぜなら、肝心の佐藤くんの両親については、何一つ教えてくれなかった。
早足になる佐藤くんの横顔は、あまり嬉しそうではない。
深くは関わってほしくない、って無言で、圧力をかけるように。
……複雑なご家庭、なのかな。



