佐藤くんは甘くない




***


佐藤くんに、プリントを渡しておきますと理由をつけて、担任から住所を教えてもらった。


私は、通りのスーパーでお徳用のゼリーとポカリを買って、市街から少し離れた、道路もあまり通らない静かな住宅街へと足を伸ばした。


あらかたの場所は教えてもらったので、一つずつ、表札を確認していく。


っと、佐藤、佐藤、佐藤。


近藤、浅野、飯塚。



……あ。


ぴたり、と足が止まる。

石で彫られた随分昔の表札に、佐藤。の文字。見上げると、趣のある木造の家がどーんと立っていた。で、でけえ。佐藤くんちってお金持ちなのか。


「あれ……?」


佐藤浩一郎、ふみ。とだけ横に書かれている。佐藤那月の名前が無い。


「……んー」


取り敢えず、きょろきょろ見渡してみるけれど、佐藤と書かれた苗字はここだけだった。


まあ、とりあえずインターフォン鳴らして、聞けば早いだろう。



佐藤くん、風邪、大丈夫なんだろうか。

……あんまりに体調が悪いなら、すぐに帰ろう。


そう思いながら、インターフォンを押した。