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佐藤くんに、プリントを渡しておきますと理由をつけて、担任から住所を教えてもらった。
私は、通りのスーパーでお徳用のゼリーとポカリを買って、市街から少し離れた、道路もあまり通らない静かな住宅街へと足を伸ばした。
あらかたの場所は教えてもらったので、一つずつ、表札を確認していく。
っと、佐藤、佐藤、佐藤。
近藤、浅野、飯塚。
……あ。
ぴたり、と足が止まる。
石で彫られた随分昔の表札に、佐藤。の文字。見上げると、趣のある木造の家がどーんと立っていた。で、でけえ。佐藤くんちってお金持ちなのか。
「あれ……?」
佐藤浩一郎、ふみ。とだけ横に書かれている。佐藤那月の名前が無い。
「……んー」
取り敢えず、きょろきょろ見渡してみるけれど、佐藤と書かれた苗字はここだけだった。
まあ、とりあえずインターフォン鳴らして、聞けば早いだろう。
佐藤くん、風邪、大丈夫なんだろうか。
……あんまりに体調が悪いなら、すぐに帰ろう。
そう思いながら、インターフォンを押した。



