佐藤くんは甘くない




一瞬、頭に浮かぶ。


白いベット。

薬剤の匂い。

真っ暗な病室。


ちかちかと点灯する、切れかけの蛍光灯。


そして───



「───遠まわしで分かんないって言うなら、正直に言おうか」


「瀬尾、やめて、お願いだから、」



必死に吐き出すように、私は懇願する。それでも、瀬尾は続けた。



「───佐藤のところに行かせたくない」


息が止まりそうだった。

馬鹿みたいに、視界が滲む。頭の奥で私に何度も、何度も、何度も、何度も、謝って、謝って、謝って、謝って、泣き続ける声が近づいたり遠のいたりしていく。


「お前が佐藤にあって、また同じ目に遭ったら。

 きっと、俺は佐藤が許せなくなる。だから、止める。二度と、お前が傷つかないように」