「ゆう、きに……酷いことを、した……っ」
「うん」
「……ゆうきが、もしっ、かばってくれなかったら、きっと、朝比奈さんを、」
「……うん」
もし、あの時結城がかばってくれなかったら。
俺はきっと、朝比奈さんに手を上げていた。自分の好きな人に、最低で最悪の行為をしていた。
そうしたら、きっと俺は自分を許せなくなっていた。嫌いさえ通り越して、自分に憎悪する。それを、助けてくれた。
なのに、謝りもしないで、ただ逃げて。それで、許されるわけないのに。
「だから、やさしく、しないでっ。嫌いになってよ。許してもらえるんじゃないかって、期待、する……から……っ」
いつの間にか、俺は彼女の背中に、しがみ付いていた。馬鹿だ、俺。
これ以上、結城を頼るべきじゃないのに、なんで、離せないんだよこの手を。
耳元で聞こえていた呼吸が、一瞬だけ息が止まる。冷静を装うように何度も浅い呼吸を繰り返しているのが、分かった。
なんで、声が震えてるんだよ。
なんで、アンタが今にも泣きそうに、なってんだよ。



