佐藤くんは甘くない



ぎゅうっと、抱きしめる力が強くなる。

結城は、あやす様な優しい声で、言う。



「私は佐藤くんの味方だ」

「っっ、」



いっぱいにたまっていた、雫がぽろりとこぼれだす。馬鹿みたいに、ぼろぼろ零れ落ちていく。


「どれだけの人が佐藤くんを悪役だって罵っても、離れて行っても、私はちゃんとここにいる。ここに、佐藤くんの近くに、隣に、いるから」


「……ぁ、あ……ぅ、」


「誰が嫌いになったりなんてするもんか」



嫌われたくなかった。

きっと、結城や瀬尾や朝比奈さんに嫌われたら、もう、自分のことを許せなくなる。


そうしたら、どうすればいいんだろう。

俺は、どうすればいいんだろう。



「……だ、って……、俺は、」


力の抜けたはずの手のひらを、握りしめた。