佐藤くんは甘くない



「佐藤くん、佐藤くん」


控えめに、佐藤くんの名前を呼ぶ。

佐藤くんはさっきのことがあって、私に気を遣っているのか、少しだけ優しい視線だった。



「佐藤くん、ひょっとして私のこと心配してくれたんですか?」




「……」



佐藤くんが目を瞬かせる。


そして、若干にや付いてしまう私の顔を見て、いきなり顔を真っ赤にしたかと思うと、いきなり立ち上がって、


「べっ、別に!たまたま、通りかかったらっ、なんか絡まれてたから……っ。そ、それでただ、そう、しょうがなく、本当に……っ、しょうがなく、」


だんだんと佐藤くんの声が尻すぼみになっていく。

じいっと見上げたままの私の視線と、一度だけ交わった。それを見ると、佐藤くんは、言葉を詰まらせて、慌ただしく座る。


それから、私の顔をちらりと、一瞬だけ見て、



「……ごめん、やっぱ、今の……訂正」


耳を澄ませなければ聞こえないほどの小さな声で、佐藤くんはぶっきらぼうに言った。