佐藤くんは甘くない



「あ、……の、ご、ごめん……」



ぎこちなく、私から視線を逸らす佐藤くん。

その耳は面白いくらいに真っ赤で、一体どうしたんだ佐藤くん、と問いかける前にはっと我に返る。


私っ、いろいろ肌蹴てるんだった……!


「っっ、こ、これはお見苦しいモノをお見せいたしましたっ……!」


慌てて、襟元を手繰り寄せて、私は佐藤くんから背を向ける。くうう、焦ると人ってこんなにボタンはめるの難しいのかよっ。

上手く動かない指先を、何とか力を込めて私は最後のボタンをはめる。


そうして、ちらりと後ろを振り返ると、


「……」

「……」


佐藤くんが、罰悪そうに赤い顔で、やっぱり立っていた。


「ええっと、あの、」


「……入っても、いい」


「あ、はい」


私が小さく頷くと、佐藤くんは応接室へと足を踏み入れた。