佐藤くんは甘くない



声が出なかった。

けれど、その温かさはすっと消えて、今度はひやりとした冷たさが左肩にやってくる。


「ううっ、冷たいぃいいいい」

「天誅。我慢しろ」

「……瀬尾の卑怯者」

「卑怯で結構」


湿布を張り終わると、熱くなった私の顔を見て満足そうに、笑う。……くっそう。なんか、思うツボ感半端なくて腹立つ。



「んじゃ、俺は退散するよ」


と、私が悪態をつく前にさっさとドアを開けて、出て行ってしまった。



「瀬尾、」


ちょ、ドア閉めろよ瀬尾。私一応、女らしからぬ恰好してんだからさ。ったく、アイツは本当に最後の最後は詰めが甘い。


私は仕方なく立ち上がって、ドアを閉めようと近寄って───固まった。




「……ぁ、」




目の前の人物も、目を見開いたまま硬直していた。