佐藤くんは甘くない



「───そんなに怒んないでよ、仲良くしよーよ」


薄っぺらい笑みで、グループのリーダーが私を窘めるように言った。

そんな笑顔で仲良くしようだなんて思うやつが、一体どこにいるんだ。


私はそいつを一瞬だけ睨みつけて、


「行こう、ひまりちゃん」

「あ、うん」


私は、その痛みに気付かれないように、オレンジジュースをもった左手に力を込める。


ひまりちゃんのあいていた左手を、自分の右手手に重ね合わせる。


そして、戸惑うひまりちゃんの手を引いて歩きだす───



「……その態度、ちょっと気に食わないなぁ」



───ふと、後ろから声がした。腹の底から出したような低い声。


あ、これはまずい。と思った時には遅かった。




───グイ、と。



私の左肩を強く、指がめり込むほどに、掴んで───振り向かせる。


がこぎ、と嫌な音が聞こえた気がした。

視界が揺れて、こひゅっと喉の奥が粘着テープにでもなったみたいに、息さえすえないほどの、激痛。


それは、私の肩が悲鳴を上げて、持っていたオレンジジュースがぱしゃん、と白い床を染めていくのとほぼ同時だった。