佐藤くんは甘くない



その声に、一瞬毛悪寒を覚えた。


返事もなく、振り返ると───そこには、さっき騒いでいた、私たちと同じ学校の制服を着た男子が4人、ずらりと並んでいる。


「何か」


私は、なるべく冷たい口調を意識しながら、言い返した。

私の隣でコップを入れ替えようとしていたひまりちゃんを、隠すようにして私の後ろへ。


「やーや、そんな目しないでよ。別に悪いことするわけじゃないんだからさ」


きちんと髪の毛をセットした、グループのリーダーらしき、男が人懐っこい笑みを浮かべながらそういった。


「そうそう、悪い奴らじゃないよ俺ら」


同意するように、前髪を上げたキツネ目の男が笑う。


「俺らさ、今4人で女の子誰もいないから、味気ないでしょ」

「……」


知らねえよ。

と、思わず言ってしまいそうになるのを飲み込む。

この状況は、ただ黙ってやり過ごすのが一番だ。そうすれば、店員さんなり瀬尾がたぶん、気付いてくれる。


けれど、かばうようにしていたひまりちゃんに、


「───わ、君可愛いーじゃん」

茶髪の男が近寄ると、ずうずうしくひまりちゃんの肩に触れる。


「お前そんな清純タイプが好きだったわけ?」

「うっせー」

「あははは、じゃあちょうどいいじゃん」