佐藤くんは甘くない



満足満足。


「じゃあ、私は無難にオレンジジュースにするかぁ」

「……あはは」


瀬尾のげろ吐きそうな顔を思い浮かべながら、るんるんでオレンジジュースを入れる。

ひまりちゃんも、私の使っている機械の隣のやつにコップをセットして、うーんと唸っている様子だった。


「ねえ、ねえこはるちゃん」

「……ん?」

入れ終わったオレンジジュースを一口。

「佐藤くんって何がすきなのかな」

「あー、」


すっごい甘いの、とでも言ってやろうかと思ったけれど。さすがに、あんな状態で冗談かますのも悪いよね。


「緑茶とかでいいんじゃないかな」

「うんっ、分かった」


ひまりちゃんがじいっと、注ぎ口から緑色の透明な水が落ちるのを見ていて、私は少しだけ笑ってしまった。


良かった、ひまりちゃんが佐藤くんを嫌いにならなくて。

もともとそんな心配なんて、あんまりしてなかったけれど。


小さく笑いながら、ひまりちゃんの名前を呼ぼうとした、その時───




「───ね、君ら二人ー?」



───後ろから、声がした。