佐藤くんは甘くない



「……佐藤くん、」


私が小声で、佐藤くんにしか聞こえないくらいの声のトーンで耳打ちした。


「ちなみに、何色でしたか」

「……し、言わせんな馬鹿っ!」

「つおっ……!」


佐藤くんがいきなりメニュー表で殴ってきた。

もう爆発しそうな勢いで、佐藤くんの頬が赤い。

殴っても興奮が収まらないのか、あうあうと口を動かして、落ち着きなく動いた後、いきなり何かを思い出したような顔で目を見開いて、さらに真っ赤になると、ふいっと向こうを向いてしまった。


───ガタン!

佐藤くんがいきなり立ち上がった。


「うわ、びっくりした」


いきなり立つんだもん。


「どうしたんですか?」

「っっ、トイレ!!」


乱暴にそういうと、佐藤くんはぎこちない足取りでそそくさと退却していく。……はは、絶対どうしたらいいか分からないから逃げたな。

佐藤くんの小さくなっていく背中を見送った後、


「ひまりちゃん」


「はっ、はい!」


びくっと肩を震わせて、白い肌が真っ赤になったひまりちゃんが顔を上げる。