佐藤くんは甘くない



「えっと……うーん、」


私は頭を掻きながら、苦笑い。


いかにも分かりませんでした、という顔をした。実際、さっき焦っていたから解説してくれていたことも耳に入っていなかったからあながち間違いでもない。


そういうと、ひまりちゃんはそっかぁとちょっとだけしゅんとしたように眉を下げた。


……その顔は全力で土下座したくなる。


けれどひまりちゃんは、優しい。

隣に座っていた瀬尾に、


「瀬尾くん、瀬尾くん」


「ん?」


「こはるちゃんがここ分からないみたいなんだ、ココでxを代入するところがたぶん分からないんだと思うんだけど、」

ひまりちゃんが瀬尾にさっき、解いていたノートを見せながら一言二言かわすと、


「ああ、これだとさ」


瀬尾が、そのノートを手に取って、私の前に広げると細かく図形を描き始めた。

「あ、うん」

「ここでxを代入してまず、ここの長さを出して、んでyに当てはめるんだよ」

「……うーん。ここがどうしてyになるのかがよく分かんない」

「あーっと、だから……」


私が顔を上げる、瀬尾と目があった。にやり、と口元に笑みを浮かべる瀬尾。きっと私も同じ表情をしていただろう。