佐藤くんは甘くない



「この辺が、」

「そっか、うんえーっとね、」


ひまりちゃんがそういって、私の参考書に線を引いて、それからくるりと広げたノートを縦にすると、すらすら図形を描き始める。


「……」


佐藤くんの視線が痛いんですけれども。


もともと、佐藤くんに教えてもらう名目でやっているのに、これじゃあ私とひまりちゃんプラス男2人という構図ができてしまう……!!


せっかくひまりちゃんが教えてくれているのに、私は全くその内容が頭に入ってこない。


ど、どうしよう。

この状態で、佐藤くんを話題に入れる方法は……っ!?



頭をフルに回転させて、どうにか試行錯誤する。ええっと、そうひまりちゃんが分からない場合が、とちらりとひまりちゃんを見る。


ひまりちゃんは全く困った様子も見せずに、優しい口調で、分かりやすく解説してくれる。ああくそうっ、ひまりちゃんってば頭いいからそんなの無理だ。

隣にいる佐藤くんが、ノートを広げて勉強し始めようとする。あ、やばい。こいつもう自分の世界に入る気だ……!!


「で、こう。……分かった?」

「えっ?あ、あ、うーん」


いきなり話しかけられて、私はばっと顔を上げる。

見ると、目の前に座るひまりちゃんが、すらすらと解いた問題を見せて、


「分かったかな?」


ともう一度聞いてくる。ああ、こ、これだ……!!