佐藤くんは甘くない



時計塔の前に立っていた、佐藤くんを囲むように、綺麗系のおねーさま方が何やら話しかけている様子だった。


佐藤くんは、かなりひきつった表情で、迫られそうになるたびずるずる後ろに下がっていく。


あれは完璧、逆ナン……!!

なんていうタイミングで……!ああくそ、どうしよう、このまま飛びついて行って蹴散らしてしまえればいいけれど、それじゃあ別々に集合場所に行った意味がなくなる。


「せ、瀬尾どうしよう」

「落ち着け、今行って朝比奈と鉢合わせたら意味ないだろうが……!」

「で、でも佐藤くんが」


ああ、もう何触ろうとしてるのおねーさん方!!


佐藤くんも佐藤くんで逃げなきゃだめじゃないか!!って、それは無理な相談だ。

近くにいるだけで、真っ青になるような佐藤くんにそれはできるわけもない。


ああでも。どうしようっ。


ついに、佐藤くんを囲んでいた一人の女の人が、すっと佐藤くんの髪に触れようと手を伸ばして───


「もうっ、」



待てない、と一歩、踏み出したその時。