玄関を開けると、すでに瀬尾が私の玄関前で待っていた。


「遅すぎ」

「いやーすまんすまん。っと、佐藤くんは?」

私がきょろきょろ見回すと、瀬尾がにやにやしながらまあちょっと待てよ、と瀬尾家の玄関をくいっと顎で指す。

ちらり、と瀬尾を見るとこいつ相変わらずセンスだけはいいなぁ、と感心した。


朝あんな爆発していた頭も綺麗にセットされていて、そこまで派手なわけではないけれど、色も小物もさりげなく使っていて。


これで、たまに瀬尾にコーデしてもらってるって友達に言ったら、非難囂々浴びるだろうな、きっと。女子として。


瀬尾なら、佐藤くんも期待が持てる───なんて、思いながら顔を上げたとき。





───ガチャ、と遠慮がちにドアが開く。



「……おおっ」


私は思わずおっさんみたいな声を上げてしまった。


佐藤くんは、よそよそしく私たちの前までやってくると、恥ずかしそうにそっぽ向いてしまった。


白シャツに、濃い黒のジャケット。その白シャツに合わせるように淡い青色のシャツを重ねてきていて、細身のカーゴパンツで、すらっとした長い脚の佐藤くんによく似合っていた。


そして、髪も綺麗にセットされていて、いつもの下ろした時よりも数段大人っぽく見える。


「すごいですすごいです!佐藤くんめっちゃカッコいいですよ!」

「……うっさい、褒めても何も出ないから」

「これは道行く女子たちも黙ってないですね」

一人で歩いてたら10歩に一回は逆ナンされそう。