待っていた───それは、ひまりちゃんのことに違いなかった。
佐藤くんは、上ずった声で続ける。
「あんなに酷いことばっかり言ったのに。それに、ごみを捨てに行くついでに、職員室へ日誌を届けに行って先生に捕まったから、随分と戻るのも遅かった。
なのにさ、」
そこで区切ると、佐藤くんが嬉しそうに唇を噛みしめる。きっと、佐藤くんにこんな表情を指せるのはひまりちゃんくらいなんだろうな。
「待ってたんだ。俺は、面食らった」
「ひまりちゃんらしいですね」
「……うん」
ひまりちゃんは優しい。誰よりも優しい。
佐藤くんが惹かれてしまうことも、すごく自然な話だった。だって、私だって男だったら、ひまりちゃんみたいに優しくて可愛いふわふわした子がいたら好きになってただろうし。
「なんで、いるのって聞いた。……今思うと、無神経すぎるけど」
「あはは……」
「朝比奈さんはさ、言ったんだ」
想像する。
教室で、佐藤くんを待っていたひまりちゃんが。戻ってきた佐藤くんになんでいるのって言われて、それでも優しく、真っ白な笑みで───
「だって、二人で任されたから、って」



