ようやく、心臓が収まってきて、私はほっと溜息をついた。
ぬるくなってしまったコーヒー牛乳を飲むと、すうっと沁み渡っていく。そこで初めて、私は緊張で喉が渇ききっていたんだと、気付いた。
「さ、佐藤くんは……ガキなんかじゃないですよ」
あれ、私何言ってんだろ。
「佐藤くんはちゃんと男の子です、きっとひまりちゃんもそう思っているはずです」
なんで、こんなに慌てながら私はこんなことを言っているんだろう。
ひまりちゃん、も?
じゃあ私は?私は佐藤くんのことをどう思っているんだ。私は───、
「……嘘つき」
佐藤くんがジト目で、小さく呟いた。
そう返されるとは思わず、私はちょっとびっくりして目をぱちくりさせてしまう。
佐藤くんは自分の言ったことが、よほど恥ずかしかったのかまたふいっと向こう向いて、
「瀬尾と一緒に風呂に入ったら、……その、いっ、いろいろ、俺のほうが小さかったから。それでガキだとか、馬鹿にされて、ちょっと怒ってた……それだけ」
物凄い小さな声で、拗ねたように口を尖らせて、佐藤くんがそういう。
「身長のことですか?」
「それも、あるけど」
「まー瀬尾、ああ見えて元バスケ部ですしねぇ。今も筋トレとかしてるみたいだから」
「そっ、それもあるけど……っ、あーもうこの話なしっ!」
私がもう一度口を開こうとすると、佐藤くんはそれを遮るようにコーヒー牛乳を一気に煽った。



