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「完全、のぼせた……」
女湯ののれんをくぐると、70くらいのおばあちゃんの番台がどうだったー?と聞いてくるので、私はよかったですーと苦笑い。
佐藤くん、たぶん先に出たからもういるんだよなぁ。
あんまり顔を合わせたくないのが、本音だ。
なんか、私の中で佐藤くんは友達で、気の置けない大事な友達で、それ以上でもそれ以下でもないから。
こういう風にぎこちないのが、とても息苦しい。
「うー」
佐藤くんが赤くなる時のように、私もぎゅうっと自分の着替え一式を抱きしめて呻く。
そんな私を見かねたのか、おばあちゃんが、
「何か心配事かい?」
「自分が情けなくって、今全力で後悔してるとこです……」
「そうかいそうかい。そういう時は───どうせだから、お風呂上りにいっぱい、いるかい?」
隣にいた番台のおばあちゃんが、ごそごそと背後から何かを取り出して、私の前にかざす。
昔ながらの底の厚い、牛乳瓶に入った、薄茶色の液。コーヒー牛乳、2本だった。
……なぜ二本?
そう思って首をかしげると、おばあちゃんらしからぬウインクで、
「カレシと喧嘩したんだろ?これやるから仲直りしてきな」
……おばあちゃん、ありがたいけどいろいろ誤解していらっしゃった。



