「あ、ありがとうございますーこれです」
私が声を張り上げて、敷居の上を見て話しかけると、
「……別に」
くぐもった声が、響き渡る。へっへっへ、佐藤くん絶対照れてるぜ。
私はとことん意地が悪い。ここまで来ると、同級生の男の子相手に、銭湯で敷居越しに話してる女子高校生の恥なんて麻痺していた。
私は口元を隠して、にやにやしながら、
「佐藤くん、どうせですから女風呂、入ったらどうですか?」
「……」
無言だった。
あ、これは言っちゃいけない冗談だったかな。と自分が進んだ選択肢を後悔しそうになったとき。
───ガッコォオオオオオオオオンっ!!
大量の桶が飛び散るような音が、向こう側からした。



