佐藤くんは甘くない



お風呂中に響き渡るような、乱暴なドアの開ける音。


ふと思って、私は曇りガラスを見るけれど、誰も入ってこない。ってことは、男子のほうから?


じっと見上げると、大きな敷居の一番上の部分だけ、空間があって、おそらく敷居の向こうが男子風呂なのだろう。


入ってくる時も、特に人の出入りがなかったから、たぶん向こうも瀬尾と佐藤くんだけなはず。おお、ちょうどいいじゃん。ベストタイミング。


「……あ、……ない」


天井の隙間から、白い湯気と一緒に、小さく愚痴をこぼす声が聞こえた。


うん、聞き覚えがある。これは間違いなく佐藤くんだ。


私はすうっと息を吸って、


「さーとーうーくーん!!」



上を向いたまま、佐藤くんに話しかけた。