帰宅後、倒れ込むようにベッドに沈みこんで、
2時過ぎまでたっぷりと深く眠りに落ちた。

昼間の喧騒、例えば、外から聞こえてくる子供達の騒がしい声や、
2軒隣に建つマンションの工事の音、
家の周りを走るバイク、母ちゃんが観るワイドショー、
こちらの都合を考えないでかかってくる電話、宗教や新聞の勧誘。

シャットアウトされたように全てが遮断され、
何も聞こえてこない無音の中で眠ることができた。
起きた時には晴れ晴れと爽やかな気持ちで目が覚めたのだった。


シャワーを浴びて、Tシャツとジーンズに着替えて、
軽く飯を食い、出掛けた。

佐古さんが取って夜中、俺が見張った場所には
バイト先の人達や、その連れなんかが来ていて、
まだ明るいうちから酒を飲み、UNOなんかして盛り上がっていた。
俺は、どうも!と片手を挙げ、敷いてあるビニールシートの隅に座った。


「よ!夕べはおつかれ」
「佐古さん、女の人もいるじゃないっスか」
「あれ、店長のカミさんだよ」
「え~!めちゃくちゃ若くないっスか?」
「犯罪だろ?で、ワタルの連れはいつ来んの?」
「や~、夕方には来るって言ってましたけど」
「ちょー楽しみなんだけど。早く来ねーかな」


UNOに加わったり、
さきいかとかチョコレートを食べながらくだらない話をしたり
店長の奥さん
(大学生に見えたから佐古さんの知り合いかと思ったけど、実は結構いってるらしい)

「こきつかわれない?」
などと聞かれたりしていたら
携帯が震えたので見たら、ワタナベからだった。


『ワタナベだけど、人が多くてそっちまで行けないんだ』
「今どこにいるの?」
『公園を出たところのコンビニの前』
「じゃぁそこで待ってて。今から迎えに行くから」


店長の奥さんに、迎えに行ってくると告げると
「彼女でしょ?」と言われて、慌てて否定する。

そ、そんなんじゃないですってば。

ついでにペットボトルのお茶大きいの、と、ツマミ買ってきてと言われて頷いた。