夏休みとはいえ、学校での活動は原則、制服なので
カッターシャツに腕を通し、真っ黒のズボンを穿く。
こんな暑い日に、こんな暑苦しい格好をしなきゃいけないなんて。

ねみ~。
かったり~。
だり~。
行きたくね~。

足取り重く、駅に向かった。

俺が使うこの駅は、各停しか停まらず、
過ぎ去っていくように通り過ぎる急行や特急をいくつも見送っていると
少し離れた所に肩の辺りに垂らしたおさげの後ろ姿を見つけた。


「ワタナベ」
「富永くん、おはよう」
「おはよ、ワタナベもこの駅だったの?家、どっち側?」
「商店街を抜けたとこ」
「へぇ、そうだったんだ。俺ん家は、ロータリー側」
「知ってる。たまに自転車で走ってるの、見かける」
「え?そう?マジで?」
「うん」


会話終了。
沈黙という気まずい空気が流れる。