しかし幾ら人間ではない私でも、返答のない会話を毎日続けていく事は困難だ。 そこで思いついたのは、歌を唄う事だった。 とはいえ、私の知る歌は以前フレイが一度だけ口ずさんだあの曲しかない。 幸い耳に残っていたその歌を、私は飽きもせずに毎日木の下で唄い続けた。 「フレイ。聞こえるかしら?」 起動直後だったせいかメロディーはうろ覚えな上、言葉の意味すらよくわからない。 それでも、私はフレイが唄ったこの歌が好きだった。