「はあ…、捻挫してそうね…」
美月が呟きながら神楽を見る。
しかし神楽は俯いていた。
(早く冷やした方がいいわね…)
「家近い?」
美月は神楽の顔を下から覗き込みながら聞いた。
「家は近くない…」
(ん?家”は”??)
美月は言葉に少し違和感を感じながらもあまり気にしないでおいた。
「少し待ってて。」
美月は走って公園の水道まで行き、ポケットからハンカチを出して濡らす。
それをよく絞って神楽の方へ戻ってきた。
「手、出して。」
美月が言うと素直に神楽は手を出す。
(いきなり素直になった…ちょっとかわいいかも…)
ふふっっ
美月は思わず笑ってしまった。
「なんだよ。」
神楽は少しほほを膨らませながら睨んできた。
でも今の神楽の睨みは怖くない。
逆に…
「子どもが拗ねているみたいでかわいい」
「はぁ??」
(あっ!声に出てた!!)
さらにきつく睨んでくる神楽をシカトして手首にハンカチを巻き付ける。

