みすみの花が開くとき

光如の居なくなった放送室。


「雪!」

「花月さん!」


二人は雪に詰め寄った。


「雪!どうして…!?」

「花月さん!あれでいいのかよ!」


雪は困った様に笑った。


「いっぺんに話されても…、応えられないよ…」


義成に目配せ。


「佐橋、僕が先でいいか?」

「おぅ。どうせ、聞きたい事は一緒だ」

「ありがとう。…雪。あれでいいの?」

「誠…」

「あいつは、矢追なんだよ?」

「誠。もう…、いいの」

「雪…」


雪はやわらかに微笑んだ。


「それに…、あたしには…、誠が居るから、大丈夫なの…」

「雪…!」


抱き締める。

雪の身体は相変わらず華奢だった。