「裄くんって、綾子が好きなんじゃないの?」 「………は?」 あたしが問いかけると、 裄くんはびっくりしてあたしから離れた。 「なんでそんなことになってんの? 俺が好きなのは梨元だって」 「だって裄くん…綾子見るとき、いっつも悲しそうな目してたから……てっきり好きなんだと…」 あたしの言葉を聞いて、なぜか赤くなる裄くん。 その顔を隠すようにして、視線を上に向けていた。 「裄くん…?」 不安になりながら呼びかけると、 裄くんは言った。