すると、裄はあたしを見て、そのあとフッと笑った。


「ごめんな。まだ詳しくは言えないんだよ」


いつものように、それしか言わない。


「いっつもそれじゃん。少しくらい言ってくれたって良くない?」

「んー、でもまだ悩んでるし。ちゃんと決まったら言うから」


悩んでるなら、相談してくれてもいいのに。

あたしじゃあ、頼りにならないのかな?


「…早くしてよね。あたしも就職先決めれないんだから」

「分かってる」


あたしは弱虫だから、物分かりのいいことしか言えない。


裄。

裄が悩んでると、あたしも不安になるんだよ。

少しくらい、頼ってくれてもいいんだよ。

裄の悩みなら、あたしも苦痛じゃないのに。