「髪、ボサボサだぞ」 「え、やだぁ…」 ひたすら笑いながら、あたしの髪を直してくれる。 そんな裄にも、胸のドキドキは止まらない。 「まっ、あとは電車の中でな。遅れるから行こ?」 「うん!!」 これからあたしと裄の、 楽しい1泊2日の旅行が始まる。 「わぁー。すごーい!」 電車を何度も乗り換え1時間半、 外の景色は雄大な自然が広がっていた。 「一面緑だぁ! 裄、すごいねー!」 どっちかと言えば、都会で育ったあたしたち。 これほどの緑を見る機会は、ほとんどないに等しかった。