8時半になり、玄関のドアが開いた。 「行ってきまー‥‥‥」 ドアを閉めようとする浅海と目が合った。 浅海の手から離れたドアが、勢いよく音を立てて閉まる。 「‥おはよ」 少しだけ微笑みながら、声をかけた。 「なん‥で?」 驚いた浅海の顔。 ‥無理ねぇよな。 昨日の今日だしな。 壁に預けていた背中を浮かし、浅海の元へと歩み寄る。 「ちゃんと話がしたくて‥待ってた」 「裄‥‥学校は‥?」 「今日は3限からだから」 ほんとは、1限あったけどサボった。 授業なんかより、浅海の方が大事だから。