その時、聞こえた声。 「梨元っ」 「は、はい!?」 いきなりの呼びかけに、どもるあたし。 あちゃー… 変な子だよ、あたし。 しかも今の声、裄くんだよねぇ!? ああー、最悪だぁー。 「梨元、どうしたんだよ?」 「え!? あ…うん、なんでもないよっ」 ごまかしきれてないよ~。 あたしって、ほんとだめだな。 「ならいいけど。とりあえず、おはよう」 「あ…おはよう」 おはようを言う為に呼んでくれたんだ。 普段は意地悪だけど、やっぱこんな時優しいな、裄くんって。