裄に問いかける遼多。


「ああ、そうだけど」


それに返す裄。

少し不思議そうな顔。


「今年の1年の女子で、高江中からきた恩田って子がいるんですけど」


“恩田”

その名前に少しドキッとした。

裄と同じ中学出身で、恩田。

可能性がないとは言い切れない。

そして遼多は言った。


「裄さんの同級生に恩田っていました? 確か璃紗って」


遼多の言葉で、確信へと変わった。

恩田さんだ。


「恩田璃紗? いたよ。もしかして妹?」

「そうです。妹は恩田美紗(オンダミサ)っていうんですけどね」