裄が、親指であたしの目元を拭う。 「化粧、落ちてる」 「うそっ‥‥やだあ」 入学式だからと、ちょぴり化粧をしていたあたし。 さっき泣いた時に落ちちゃったのかな? マスカラ、ウォータープルーフじゃなかったし。 すごいことになってそう‥ 「裄。あたし目元、すごいことになってない?」 そう言って少し上を向くと 「大丈夫。それでも可愛いよ」 声と共に降ってきた 優しい優しい裄のキス。 一瞬何か分からなくて、放心状態。