私は、食卓テーブルで勉強するのが好きだ

2階の自分の部屋から下ろしてきた、勉強道具を広げ数学の問題と格闘し始めた

林先生に放課後言われた『冬休みの補習』だけは受けたくなかった

必死に問題を解いていたら、もう時計は8時を回っている

お腹が空いてきた 冷凍庫からグラタンを出し レンジでチンし始めたら

突然なりだした携帯にドッキっとした

着信 山田 真人

慌てて、携帯を開いた

「もしもし」

「もしもし、オレ、結衣元気?」

小声で話す彼の声で、今まだ病院で勤務中なのだとすぐに気付いた

「元気だよ。真人は?」

「大丈夫!今、電話してて構わない」

「うん」

何年経っても、真人からの電話は、私をドキドキさせる

「朝、送ってやれなくて、ごめん」

「よく寝てたから、起こせなかった」

しばらく、沈黙が続いた

私は、彼との沈黙に時間が好きだ

他人との沈黙を心地良く思える相手は、真人だけ・・・

「オレ、決めたから」

そう、呟く彼の後ろで院内PHSの呼び出し音がした

「ゴメン、呼び出し。行くよ」

「じゃーね」

「うん、また電話する」