悠一とは、会社の子が幹事をした合コンで知り合った。

好みのタイプとは、違ったが大らかの明るい感じで、すぐに打ち解けそのまま交際に発展。

問題も無く…と言いたいが正直マンネリ化になりつつある。
まぁ、長く付き合えば当たり前の事だし、仕事も忙しいから仕方がない事だって諦めてるけど…

そんな中会った彼…弟の薫は、まさに私の好みのタイプだったと言える。

「はじめまして
弟の若宮薫です。
お会い出来て嬉しいです…沙織さん」
そう言って手を差し伸べてきた。

「あ、えっと…筧沙織です。
はじめまして…」
戸惑いながらも私も手を差し伸べ握手をする。

心臓がさっきからバクバクと動脈が速くなって行くのが分かった。

「さぁ、座ってメシにしょうぜ?」
悠一の言葉でハッとして慌てて手を引っ込める沙織。

「う、うん。そうね…」
必死に自分の鼓動を沈めようと落ち着かせる。

(落ち着け…私。
彼は、悠一の弟なんだから)
何度も心の中で呪文のように唱える。