しばらく泣き続けて疲れ始めた頃。




ピロン♪ピロロン~♪




蓮のスマートフォンから着信音が鳴った。



「······莉桜からメールだ。」



蓮はメールフォルダを開き、文面を見た。

手は使えないので、喋って開ける機能を使う。



To:蓮ちゃん(^O^)/

蓮ちゃん、元気かな?
何かあったら言ってね!
大好きだよ(*^^*)



「·······莉桜。」



──実は


蓮はスマートフォンの画面に言いたい事を喋っていく。




To:莉桜

実は手が治るかもしれない手術があるんだけど成功率も高いしでも失敗すると手を切断しなきゃならなくなる
莉桜どうすれば


どうすれば·······。


どうすればいいの、と喋ろうとした口が止まる。




(私·······このまま、莉桜に迷惑をかけ続けるのかな·······。莉桜は、優しいから心配しちゃうよね·········。)



そう思った蓮は、スマートフォンの電源を切った。





「これで·····いいんだよね·······。」





泣き続けて腫れ上がったまぶた、赤くなった目からまた涙が流れ落ちる。




「苦しいよ······。誰か助けてよぉ·········。」




何で、私だけ、こんな不幸でいるの。



悪い事なんて、してないよ。










────神様はいつも、理不尽だよ。





「駄目、そんな事思ったら、駄目だよ。」




何回自分に言い聞かせても、

頭の中で繰り返されるのは「死にたい」の四文字。





「莉桜、やだ。手を失うかもなんて······。」




成功する確率は92%。

100人のうち、8人が手を失う手術。




失敗する人は多くない。


だが蓮からは、「もし失敗したら」という事が頭から離れない。どうしても迷ってしまう。




「怖い·····手を失うのは·······やだ········。」




蓮は一晩中布団の中で震えていた。