「なーに言ってんの。離れるって言ったって仕事中だけじゃん」

「それでも寂しいんだよ」


いじける俺に、縁はどこか嬉しそうに笑った。

そうして小さなゆなの手を振って俺を送り出してくれて。

帰ってくれば彼女の笑顔と、目元は縁に、口元は俺に似ている愛しい娘が待っていてくれる。

こんな毎日が本当に幸せだ。夢に描いていた通りの、順風満帆な生活。

……なのだが、少しだけ気掛かりなことがある。



「おやすみ、那央……ん」


ゆなをベビーベッドに寝かせた後、ふたりでベッドに潜ると、いつもの“おやすみのキス”をするのだが。

俺だってまだ若いし、健全なオトコだし。そりゃ性欲がなくなることはありえないわけで。


「縁……」

「ん、ぁ、那央……っ」


唇を味わいながら、彼女の服の上から胸の膨らみを手の平で包み込む。

吐息に甘さが混じり、とろんとした瞳で俺を見つめる縁に、すぐに身体が反応してしまう。


「ダメ、だよ。ゆなが起きちゃう……」

「誰かさんが声を抑えれば大丈夫じゃない?」


クスッと笑って意地悪なことを言うと、縁は火照った顔でむくれてみせる。

そんな表情も、可愛くて仕方ない。