見やると、そこには高校生らしき制服姿の女子二人が、こっちを指差して立っていた。

ギョッとするあたしとは違って、那央はうんざりしたような据わった目で彼女達を見ている。



「また君達か。早く学校行きな」

「ちょっとーお巡りさん、あたし達を差し置いてナンパしてちゃダメじゃーん!」

「ナンパじゃありません。つーか、俺は他の女には興味ねーの」



那央はあたしの頭にぽんっと手を乗せると、彼女達に向かって言い放つ。



「コイツは俺の嫁だから。そこんとこよく覚えときなさい」



みるみる驚愕の表情に変わる二人は、

「結婚してたなんてヒドーい!! 詐欺ーー!!」と叫んだ。

彼女達も那央のファンなのか……。


そんな二人に「いってらっしゃーい」とヒラヒラ手を振った那央は、あたしに向き直ってイタズラっぽく口角を上げる。



「心配になった?」

「や、別に……」

「ちょっとは嫉妬しろよ」



む、と仏頂面をする那央に、あたしは思わず笑ってしまった。