翌日、昼休みの時間に亜樹が康平へ言った。

「康平、中間テストの勉強はどう? 数学は大丈夫?」

 康平は数学が苦手だった。いつもテスト前になると、亜樹が彼に教えていた。今回は、亜樹が弥生に独占されているのもあって、彼女なりに心配しているようである。


「……まぁ、それなりに進んでるよ」

 康平は答えたが、実際に、数学以外のテスト勉強は結構進んでいた。


「携帯を買って貰えるか掛かってるもんね。……ところで今って時間あるかな?」

「ごめん。今、ボクシング部の奴と約束してて時間が無いんだ」

 康平がそう言った時、有馬が教室の入口に来ていた。


 教室を出た康平と有馬は、食堂の方へ向かっていく。


 歩きながら有馬が言った。

「うちの学校って、水飲み場が三つあるんだよな」